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組成により異なる種類は100種以上
ステンレス鋼は、鉄を主成分としてクロムやニッケルを含む合金鋼で、一般には、クロムを10.5%以上含むものとされます。クロムと空気中の酸素が結合して表面に不動態皮膜を形成することで、高い耐食性を持ちます。
合金鋼であるステンレスは、その組成によって、以下の5種類に分類されます。
各系統の中にさらに多種のステンレスがあり、ステンレス鋼種としては、現在では100種類以上あると言われています。
ステンレス鋼の分類
オーステナイト系ステンレス鋼
18クロム-8ニッケル系(クロム18%・ニッケル8%の意)のステンレス鋼です。最も一般的なステンレス鋼である「SUS304」はオーステナイト系です。
延性・靭性に富み、深絞りや曲げ加工などの冷間加工性が良い上に溶接性にも優れています。また、耐食性も優れ、低温、高温における性質にも優れています。
その優れた性質から、用途は家庭用品から建築用、自動車部品、各種プラント、発電所まで幅広く、製造量は全ステンレス生産量の60%を越えます。
フェライト系ステンレス鋼
「SUS430」に代表される、18クロム系のステンレス鋼です。
マルテンサイト系よりも成形加工性・耐食性に優れ、厨房用品や自動車・電気器具部品など一般耐食用として広く用いられています。熱処理による硬化がほとんどないため、焼なまし状態で使用されます。
また、耐食性が一段と優れた、「SUS444」「SUS447J1」などの「高純度フェライトステンレス」も製造されています。
オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼
オーステナイト系とフェライト系の二相組織を持つステンレスで、「二相ステンレス鋼」とも言われます。
両系統の中間的な物理的性質を持ち、耐海水性や耐応力腐食割れ性に優れ、強度も高いため、海水用復水器、熱交換器および排煙脱硫装置などの公害防止機器や各種化学プラント用装置に用いられています。